人がマチを作り、マチが人を作る

当事業所のある札幌市西区山の手地区は、北海道札幌開拓の歴史においても先駆的な位置にある古い地域です。
近隣の琴似、西町、西野、発寒、八軒、二十四軒は、古くから人の営みがしっかりと根付いた、住宅街と繁華街が絡み合う札幌の下町といった感じのエリアです。

当事業所の目の前を走る道路は、札幌と小樽を結ぶ主要な道路（旧国道5号線・道道124号線宮の沢北1条線）で、交通量も多く自転車から大型のダンプまでいろんな車両が通ります。
徒歩10分未満の地域には、区役所、銀行、郵便局、スーパー、100均、ドラッグストア、コンビニ、交番、バス停、地下鉄…挙げるときりがないほど便利な施設が揃っています。

少し足を延ばせば、有名な牛丼チェーンや回転ずし、こだわりのうどん屋、ラーメン屋、おしゃれなイタリアンに本格インドカレー、流行りのスイーツ店などもあります。
小学校や中学校、高校もあるので人通りも多くとてもにぎやかです。

体を整え、心を育む

医療や福祉関連の施設に目を移してみましょう。
医療については、なんとほぼすべての診療科目の病院や診療所があるので、体にどんな不調が起きても安心。
病院のハシゴもチャチャっといけちゃいます。
福祉、介護に関しても、デイサービスや通所リハビリテーション施設、グループホームに我々障がい者向けの就労支援事業所と、社会的に弱い立場の方々にも住みやすい地域です。
更に看護学校や鍼灸の専門学校もあるのでなんだかうれしくなっちゃいますね。

そして最も特筆すべき点は、大きな精神科病院があり、地域に定着し共存している事です。

日本では古くから、精神科病院は郊外にあり、そこで過ごす方々はほぼ隔離状態。

社会と交わる機会が少ない状況におかれ長い時間を過ごすという、暗い歴史がありました。（現在も続いているケースもあります。）
そのせいか、一般的な生活環境で暮らす我々の中には、精神科病院とそこに通う人々に対するある種の偏見を抱いてしまう傾向があります…。（施設の在り方や制度が人の心に壁を作っているというとらえ方もできます）

しかし、この地域にある精神科病院は住宅街のど真ん中。隣は小学校という環境。

心に重荷を抱える人に対して、社会から切り離すのではなく、その人らしい生活を送りながら回復の手助けをする。

これはとても素晴らしいことだと思います。

広く深い包容力

この地域は、様々な立場に置かれた人たちが当たり前の様にマチを行きかい、お互いを支え助け合いながら日々を過ごしています。
何か困ったことがあれば、「あそこに行けばいい、ここを利用すればいい…」とアイデアが浮かび、気軽に足を運べる。

行った先でも快く受け入れてくれる。
そんな間口の広さと奥行きの深さがあるので、たとえ生活が苦しくても、心や体にハンディキャップがあったとしても、必ず誰かが手を差し伸べてくれる。
そんな安心感があるのではないかと思います。

当事業所の利用者さんたちは、そんな賑やかな街並みを徒歩、自転車、バス、地下鉄、いろいろな方法で通所され、日々の業務を通して就労の訓練を行います。
生き生きと、かつ熱心に働く利用者さんたちを、この地域は温かく包み込んでくれているように感じます。
ここで生まれる様々な作品は、そんな環境の中で作られています。
今後の展開もぜひご注目ください！！

執筆：スタッフ小野